肝心の社長が働きすぎでよく倒れました

学生時代、パン屋さんでアルバイトしたことがあります。
田舎の、個人経営のパン屋さんにしては時給がよく、面接に行って即、採用になりました。
その日から働くように言われ、まだレジの打ち方もわからないのにレジに立っていたことを覚えています。
社長は面接を終えるなり、厨房にこもって生地を打っていました。
最初は熱心なパン職人気質の方なんだと思いましたが、非常に強欲だから働きすぎるのだ、と徐々にわかってきました。

当時(21年前)、休みは週一回。
残業分の時給は出ない。

このへんは、昔なので許容範囲でしたが、とにかく社長が休まないのです。
支店もいくつかあり、私が働いていた店で売る分のパンを焼けば、支店へ行ってパンを焼いていました。
そういう社長のことですから、パンの販売以外にも発注や帳簿などの事務仕事が山ほどあり、居残って済ませることもしばしばでした。
取引先の方は『ここのバイトさんは半年持ったことがないよ』と言い、こっそり転職を勧めてくるくらいの店でした。

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何より、社長が働きすぎでしょっちゅう倒れるのです。
心臓が悪いのに、休むことを知らず、いつ寝ているかもわかりませんでした。
厨房で生地をこねている最中に、胸を押さえて座り込み、『救急車呼んでくれ』と言われることもしょっちゅうありました。

バイトの私も疲れ果てましたが、いちばん悲惨だったのは社長の奥さんではないでしょうか。
奥さんが、働きすぎで過労死したからバイトを募集し、私が雇われたんだ、と、採用から数日経って先輩から聞きましたから。
社長は、『もっと大事に使えば良かった』と振り返っていました。

社長にとっては、奥さんも従業員も消耗品なのでした。

 

労働よりも健康が大切

近年話題になるブラック労働の特徴として散見されるのが、「部下に過剰な労働を推し付け、上層部は楽をする」というもの。
しかし、今回のように、個人経営者が自ら過剰な労働をしており、部下にも強要するというケースもあります。

個人経営者が「もっと稼がなければ」という意思のもと働き続けるのはごく自然ですが、それは健康な体があって実現できる事。
過労によって体を悪くし、巻き添えにした家族を過労死に追い込む状況は、異常と言わざるを得ないでしょう。